第5章 ☆告白のタイミング【岩泉一】
「俺だってシホが好きだ…っ」
やっと言えたその言葉はどこか少しカッコ悪く感じて、真っ直ぐに見つめてきた彼女の目を見ることができない。
あー…先に言われるなんて思わねぇだろ…
「……ハジメくん、やっぱりカッコいいや」
何度も彼女は俺のことをカッコいいと言う。
カッコよくなんてない、カッコよくなんてねぇよ俺は。
ただそう思うのに、シホの今の嬉しそうに微笑むその顔が頭から離れなくなって、目が離せなくなって、
…もう余裕がない。
グッと掴んでいた手を引き、彼女を引き寄せる。
さっきとは全く違う。
俺より小さい彼女を抱きしめる。
「…俺別にカッコよくないからな」
「ううん、カッコいい。好き」
そう言って俺の胸に顔を埋める彼女は、
さっきよりも熱かった。
おわり