第5章 ☆告白のタイミング【岩泉一】
…本当にあれは一瞬の出来事だった。
烏野の小さい子…名前、日向くんって言ってたっけな。
その子がまたあの身長からは考えられないような高さに飛んで、打ち込んだボールはブロックに当たり、そして勢いよく及川くんの右手を弾いた。
…その瞬間、頭を何かに殴られたような感覚がした。
鈍器のような重いやつ。
少し遠目の客席。
別にマネージャーをしていたわけじゃないから、あの場所にはいない。
ただ人が試合しているのを見ている観客だっただけの私にさえ、そんな衝撃がきたのだ。
分かってる。当事者じゃない私がこんな気持ちになるのは変だってことは分かってる。
でも、それでも苦しくて心が締め付けられた。
審判がヒラリと烏野に点数を入れ26-24と2点差がついた。
試合終了の合図とともに。
………青城は負けた、烏野に。
青城の人は烏野の人と握手をして、烏野の監督さんのところへ行った。そして自分たちの監督さんのところへ動く。
…何を話しているんだろう。さすがに全然聞こえないや。
監督さんを挟んで円になった彼らの姿はやっぱり、とても悔しそうだった。
渡くんと金田一くん、絶対泣いてるな、あれ。
下向いちゃってるし。
花巻くん…泣いてるかな、もしかして。