第13章 ♢純情すぎた。【黄金川貫至】
「や、柔らかかったッス…」
「正直かよ」
思わず出てしまった本音は口に出すとより一層恥ずかしくて、ぶわわわと体温が上昇していくように感じた。
あの時何も考えずとにかく早く保健室へ連れて行こうと思い、彼女のことを持ち上げたのだが、今思えば本当に大胆なことをした。
落とさないようしっかりと掴むしかなく、彼女も落ちないよう捕まってくる。
密着した体からは、男ばかりのこの生活で感じたことない柔らかさを感じて思わず口から心臓が出るんじゃないかと思った。
やっちまったわ!と心の底から思ったが、辛そうな彼女のことを運ぶことが最優先だった。
あの時の手汗ほんとやばかったなあ…。
「ふーん、じゃあ黄金川の落ちてたジャージから女子っぽい匂いがするのも気のせいじゃなかったのか。てっきり洗剤変えたのかと」
二口先輩にそう言われドキリとする。
そう、今日この前貸したジャージが返ってきたのだ。
フワッと香る洗剤の匂いは彼女のもの。
「ありがとう、黄金。これ、ジャージ」
にこりと笑った優しい彼女の顔を思い出すだけで、脳内がパニックになりそうだ。