第10章 *嫉妬と無自覚【角名倫太郎】
「…なんで今正座してそこ座らせられてるか分かる?」
「…ごめんなさい。全く分かりません」
俺の部屋の中で正座させられているのは俺の彼女。
こっちはこのバカのせいで少しイライラしているが、当の本人はなぜ俺が怒っているのかは分かってないらしい。
なんで分かんないんだよ。
イライラするこの頭をなんとか落ち着かせ、彼女を問いただす。
「昨日、部室で侑と何してた?」
「へ?侑?…なんかしてたっけ、ちょっと待って…」
目を細め真剣に考えだす彼女。
本当に何も思い出せないらしく、ひたすら頭を悩ましている。
…そう、事の発端は昨日の部活前。
「〜!!」
部室に入ろうとすると何やら声がするのでドアの窓から覗くと何やら侑と彼女のシホが楽しそうに話していた。
…あいつら仲良いんだよな、ムカつく。
そう思うのはいつものことで、気にしないようにしてドアを開けようとするとシホは思いっきり侑の腰を両手で掴んだ。
「え、なにしてんの」
侑も特に動揺することなく何か話している。その光景が理解できず目が離せずにいると、シホは今度は侑の腹をベタベタと触り出した。