第6章 約束
「なんかさおくらちゃん…
ちょっと痩せたでしょ…?」
そう言って首をかしげながら
俺のほっぺたを触るくるみの手を
避けるように握りしめながら
「ツアーも始まったし
そりゃ少しは体も絞らなあかんて、
ほっといたらだるんだるんになるから(笑)」
なんて笑って見たけど本当は
レギュラーの番組収録の合間に
歌詞を頭に入れて
振りを体に覚えさせて
ツアーをこなして
更にここにくる時間を作るのは
思った以上に大変で
体は限界に近いほど疲れてて…
それでもここにきて
毎日くるみの存在を近くに感じてないと
くるみがまたどこかに行ってしまいそうで
不安で仕方がなかった…
でもそんな俺の不安を
くるみはちゃんと感じ取っていて
ため息をつきながら
「無理して毎日来なくてもいいんだよ?
たまには早く家に帰って体休めなきゃ…」
なんて俺の手を
ぎゅっと握り返す…
そんなくるみの優しい手に
促されるように
「どこにも行かんどいて…?
俺の目の届くとこに
いつもおって…?」
そう不安を吐き出すように
くるみの体を抱きしめると
そんな俺をくるみはぎゅっと抱きしめて
「大丈夫だよ…おくらちゃん。
私はずっとおくらちゃんの側にいる…
約束するから…」
そう言って
子供をなだめるお母さんのように
よしよしと俺の背中を優しく撫でてくれた…