第5章 好きのさきにあるものは…?
くるみがバスルームから出てくる前に
ベッドの中に潜り込み
扉に背を向けていると
カチャリと控えめな音がして
「おくらちゃん…寝てるの?」
くるみの声が聞こえてくる…
そんな声に応えずに
静かに目を閉じ
眠ったふりをしていると
ゆっくりと足音が近付いて
ベッドに潜り込んできたくるみの手が
俺のお腹に絡み付いて…
「ごめんね…おくらちゃん…?」
そう呟いた声は震えていて
くるみの顔がくっついている背中に
温かい涙がじわりと
染み込んでいくんが解る…
振り返って
今すぐ涙を止めてあげたいけど
今何かを言えば
くるみがまたどこかに消えてしまいそうで
何も出来ずにただ
震えてるくるみの体を
背中で感じることしか出来ずにいた…