第5章 好きのさきにあるものは…?
「あの…あのな…?」
掴んだ手が
不安と怖さで
小さくカタカタと震える…
そんな俺の手に気付いたくるみは
「おくらちゃん…?」
そう不思議そうに俺の名前を呼び
もう一度砂の上に腰を下ろす
「くるみ…?」
「うん…?」
「俺と…」
「……」
「家族にならへん…?」
「…………」
過呼吸になりそうなほどの
息苦しさを感じながら
必死に吐き出したプロポーズの言葉に
くるみは
何も言わずただ静かに俺の手を
握っていて…
そんなくるみの左手に
ポケットから小さな箱を取り出し
その中の収まっている
小さな石のついた指輪を
はめようとすると…
くるみはそれを避けるように
ぎゅっと手を握りしめ
「もう家に帰ろう…?
なんか少し疲れちゃったや(笑)」
なんて何事も無かったかのように
けらけらと笑いながら立ち上がると
車に向かって歩き始めた…