第5章 好きのさきにあるものは…?
「いらっしゃい…」
そう言って開いた扉から
「おぅ…お土産持って来たで(笑)」
なんて笑顔で
家の中に入ってきたのは
村上くんで…
玄関に並ぶくるみの靴に
気付いたのか気付いてないのか
解らへんけど
俺の後ろから何も言わずに
リビングに入っていく…
部屋に入って
ソファーに座るくるみに
「信ちゃん…来てくれてありがとう…(笑)」
そう声をかけられ
「久しぶりやなぁ(笑)」
なんて笑う村上くんの心の中は今
どんなことを考えてるんやろうなぁ…
「大倉…?」
「うん…」
「いつ言うか…いつ言うかと待っとったのに
遅すぎやろ…お前は…(笑)」
「へっ…?」
「お前がくるみを好きなんも…
くるみがお前を好きやったんも
とっくに知ってたわ(笑)
いつかは言うてくれるやろと思てたのに
ぜっんぜん言わへんし…
でもやっと腹決めて
話してくれる気になったんは嬉しいわ…(笑)」
そう言って村上くんは
俺を見てにんまりと微笑む…
こんな時
いつも思ってしまう…
この人には俺
一生勝たれへんのやろなって(笑)
いつだって村上くんは
周りを客観的に見てて
自分の気持ちにもちゃんと正直で
全てを理解した上で
その全てを受け入れられる…
そんな人が側にいてくれることは
奇跡みたいなことで
すごくありがたいことなんやって
その笑顔を見ると
いつも思うんや…