第3章 Blood Rose Princess
真っ白な雪の積もる銀世界
ローズ姫は牢獄の中で静かに冷たくなりました
手首から流れる赤い血が、牢獄に入り込み積もった雪を溶かしています
処刑前日
ローズ姫は自ら命を断ちました
姫の遺体は王族の眠る墓には入れられませんでした
罪人と同じ場所へと移されたのです
そしてダリア姫が女王になりました
ですが、ダリア姫は子供を産むことができなかったのです
跡継ぎ産まれぬまま、月日は経ちました
この国にある変化が起きたのです
それは薔薇の大量発生
あらゆる場所で薔薇は咲きました
そして全てを埋め尽くそうとしていました
女王は薔薇を刈り取るように命じました
しかし、いくら刈っても生えてきます
そして、もう一つ奇妙なことがありました
薔薇を刈った人間は皆、同じ病にかかっていったのです
それは長く現れることのなかった恐ろしい病です
石化病というものでした
体がゆっくりと石になっていくのです
人々は思い出しました
かつて自分達が愛した姫君を
そして怒りに煽られその姫を殺してしまったことを
呪いだと思ったのです
ある日、貧しい家の子供にローズ姫によく似た女の子が産まれました
その子供には腕に薔薇の模様があったのです
人々はその子を忌みました
呪いの子として疎んだのです
ですが、殺せばまた呪いが酷くなると思いその子をいじめてばかりいたのです
忌み子が10歳になる頃でした
忌み子は自分の模様のある左手で飼い猫に触れました
すると飼い猫はビクンッと跳ね上がるとそのまま死んでしまったのです
いろんなものを触ると、それは全て壊れていきました
忌み子はその力で自分を虐げる者を殺しました
ですが、その忌み子はある魔導師に殺されたのです
その子が死んだ瞬間に同じ容姿と力を持った子が生まれたのです
魔導師は抑えの魔法をかけました
できる限り長く、そしてできるならば永遠にこの呪いの子が生まれないように…と
それからというもの呪いの子は生まれることはなくなりました
ダリア姫は権力を失くし、国から王は消えました
ローズ姫は王族の最も偉いお墓に移され、崇められ罪を許してもらおうと願いを捧げるようになりました
これは、
愛され突き放され、壮絶な人生を送った美しい王女の哀しい物語…