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太陽が咲いた

第1章 たんぽぽ


「…………」
「…………」

 お互いの目がぱちりと合う。時間が止まってしまったんじゃないかと思うほど張り詰めた空気の中で、ディートリヒは動くこともできずに少女を見つめているしかない。

「……ディートリヒ?」
「え……?」

 起きあがった少女の口から自分の名前が出てきたことに驚き、ディートリヒは目を僅かに開く。

「あなたが私を生み出したんでしょう?」
「あ、あぁ。でも、俺の名前がわかるのか……?」
「うん。あなたの名前だけじゃない、私は色々なことを知ってるよ。あなたが私を創った人だということも、ここがどこなのかも。でも知らないこともたくさんあるの」
「あ、あぁ……」

 少女の言葉にディートリヒは机の上の本を横目で見た。本によるとホムンクルスは生まれながら、あらゆる知識を持っているそうだ。それにしても、自分の名前まで知っているとは思わなかった。
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