• テキストサイズ

太陽が咲いた

第3章 よく言えるよ


 ***

 奥の部屋へと逃げ込んだアルベルトとアニータは、ディートリヒの寝室に入ると扉を閉めた。まだ激しく波打っている心臓の上に手を置き、2人は大きく息を吐き出した。

「ディートリヒさん、大丈夫かな……」
「あの人たち、前にも来てたよね……」

 2人とも難しいことはよくわからない。それでも、あの兵士たちが「嫌な大人」であることは直感的にわかっていた。
 ディートリヒのことを案じながら、アルベルトが後ろを振り返ったとき、ベッドの横に穴が開いているのが見えた。

「アニータ、見て」
「何? ……え?」

 同じように振りかえったアニータは目を丸くした。穴のように見えるが、階段が底に続いているので、地下室への道だということがわかる。

「……どうする?」
「か、勝手に入ったら怒られるよ」
「でも、気になるじゃん」
「確かに……でも、暗いし……」

 顔を見合わせて相談する2人だが、廊下の方から兵士たちの野太い声と足音がやってくるのを聞いて、びくりと身をすくませる。

「い、行こう!」
「うん!」

 アルベルトはアニータの手のひらを握り、アニータもそれを握り返すと、2人は地下への階段を足早に下りていく。
/ 54ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp