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太陽が咲いた

第3章 よく言えるよ


「君のことを外に出してあげられたらいいんだがな」

 ディートリヒはそう呟くと、冷え切った試験管を手に取り、中の石を紙に包み込んだ。

「人間をつくるより、石を作った方が楽なんじゃないかとは思ったが……考えが甘かった」
「それ捨てるの?」
「そのつもりだが……ほしいのか?」
「うん」
「失敗品だが、それでもいいなら」

 紙の中から一つだけ形の良さそうなものを選び、フラスコの中に入れてやった。
 エルフィはそれを取ると、石に針で穴をあけて、糸を通して自分の腰に結び付けた。

「……何をしているんだ」
「ベルト。人間はこれをするんでしょう?」
「少し違う気もするが……まあいいか」

 エルフィは満足している様子だったので、それ以上は深く考えないようにする。エルフィの人間や外の世界に対する好奇心は日に日に強くなっていた。
 ディートリヒは他の石をそのままゴミ箱に捨てると、出かけるために薄手のコートに袖を通す。
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