第4章 ※鎌ノ助とお風呂※
「ふぅーっ……」
湯舟に浸かり、全身の力を抜く。
貸切状態の広い風呂場は、なんだか贅沢に感じる。
「入るよ」
「はーい、って、え!?」
ついうっかりそんな返事をしてしまったが、鎌ノ助はなまえの事情など知ったことかと言わんばかりにずかずかと入ってきた。
勿論、生まれたままの、一糸纏わぬ姿で。
「かかっ、鎌ノ助くんっ……は、裸……!」
「風呂は裸で入るもんでしょ?」
「そ、れはそうだけど……っていうかなんで入ってきたの!?」
なまえは自分も裸であるということを思い出し、顔から湯気が出そうな勢いで顔を真っ赤にした。
お湯が乳白色で鎌ノ助に見えないのが、不幸中の幸いだ。
しかし、鎌ノ助は何故いきなり、風呂に入ってきたのだろう。
「ご褒美」
「え……なんの?」
「信之様の手伝いしたでしょ? 僕」
「あれって処罰じゃなかった!?」
なまえの主張をさらっと受け流し、身体にお湯を掛けて鎌ノ助は湯舟に足を浸からせる。
そのままなまえと向き合うようにして、湯舟の中に落ち着いてしまった。
広いのに、なにやら近い。
「鎌ノ助くん……近くない、かな?」
「僕はもっと近くに行きたい」
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