• テキストサイズ

【乙ゲ】短編

第2章 【裏】恋のスパイス/ナポレオン・ボナパルト


「こんなに幸せでいいのかな?」


 俺の胸に頭を預け横になる遥香はそう呟いた。俺がその問いの意味を聞くより先に遥香はナポレオンと一緒にいれる事が嬉しくて、幸せで、幸せ過ぎて不安になると言った。


「阿呆。それはこっちの台詞だ。」


 嘗て軍人であった俺は幾多の命をこの手に掛けた。赤く染まったこの手は、人の命を奪う為でしか無いと悟った。だが、軍人としての生涯を終えた俺は人間と吸血鬼のハーフとし再び目を覚ました。そして、この19世紀フランスで本来ならば出逢わなかったであろう女、遥香と出逢った。弱いクセに芯が強く、物事に真っ直ぐ向き合うその姿勢に惹かれていくのはそう遅くなかった。幾多の人を殺めたこの汚れた手で必ず守りたいと思える存在。けど、そう思う気持ち以上にこの血だらけの手で遥香に触れるのが恐ろしかった。この手で彼女さえも不幸にしてしまうのではないかと恐れを抱いた。だが、それももう過去の話。


「お前が不安にならないようにしねえとな。」


 上半身を起こし、遥香の上に跨った。俺の胸の中で甘い声をあげ、乱れる遥香。恋しくて愛しくて堪らない。俺の全てはお前の物だ。重なる肌からそれが全て伝わればいい。そう思いながら再び眠りへとついた。


/ 12ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp