第1章 【甘】安眠のすゝめ/日向志音
突如幼馴染みの前に現れた彼女の存在に、正直動揺が隠せなかった。
「馬鹿じゃないの?」
学校の友達と共にクイズ大会に出場した幼馴染みの志音。志音は昔からそういうのが好きで、そういった大会によく出場してた。幼馴染みとして、バイトが無い時は応援に行ったりとかしてたけど、今日の大会はシフトとモロかぶりで応援に行けなかった。残念だったと言えば勿論そうなんだけど、問題はそこじゃない。志音と共にクイズ大会に出場した志音の友達から年上のお姉さんとただならぬ雰囲気だったとか聞かされて頭爆発するかと思った。しかも凄い熱出して帰ってくるし。そんな彼を馬鹿と罵らずにはいられなかった。罵倒でも浴びせないと正気が保てない位動揺してた。だって、テレビ局、人目のある場所で膝枕されて頭を撫でられてたなんて聞いていつも通りでいられるかっての!
「…んー…。」
帰ってくるなりベッドに横になり、私の罵倒にはほぼ無反応。詳しくそのお姉さんとどういう関係か聞きたいのに…!いや、聞きたくない。好きな人なんだ、なんて言われたら絶対泣いちゃう。
「そんなにキツいのに無理して、ホント馬鹿みたい。」
友達に誘われたからなんて言って張り切って毎晩遅くまで過去問を読み漁っていた志音を馬鹿だとは思ってない。いつも寝てばっかりで掴み所がないけど、優しくて、友達思いで周りをよく見てる、そんな志音だから好きになった。なのに口から出る言葉はひねくれた言葉ばかり。付き合いが長いせいか、年々そのひねくれ度がアップしていってる気がする。