第10章 鉛色の空〈M→S〉
~J.
翔さんの、弟みたいな存在って一言が、頭から
離れず、モヤモヤしていた。
でも、当の翔さんは気にしてない、多分
俺が、その一言を気にしている事も気づいてない。
だって今翔さんは、俺の隣で
「次は、どこ行く?潤」
何て、笑ってる。
そりゃそうか、この気持ち伝えてないもんな。
何て心の中で自己解決し、
「翔さんのおすすめのお店がいいな」
と、笑う
「俺のでいいの?迷うな〜」
画面に向き合った翔さんを、見ながら俺も携帯に目を向けた
「じゅ〜んく〜ん」
収録が終わり、楽屋に戻る途中、背中にニノが
乗ってきた
「わ、ニノ?…どうした」
「何となくで〜す、」
「そう…、?何かあるとおもった、」
「ありませんよ、潤くんが言わないって決めたなら
俺からは何も言う事ありません、」
「そ…っか、ごめん、」
「あやまらないで、後悔してほしくないな、俺」
「大丈夫、今の状態でいいの、」
「そっか、」
ニノが小さく笑い、楽屋のドアを開けてくれた
「お〜つかれ〜、二人遅かったね」
入ってそうそう、気の抜けた大野さんの声が響いた
「ちょっとおじさん、気抜けすぎ」
「そこがおーちゃんのいいとこだよ!」
「いやそれ、フォローになってるの?」
相葉くんの声に反応する様に返す翔さん
あぁだめだ、この恋心は隠すんだから、
深呼吸をして、ソファにすわる
「あ、この後全員帰りなの?」
ふと思い出し、聞けば、
「俺はゼロある〜」
「俺ら何もないよ〜」
「翔さん、雨降るかもしれないから、気をつけてね」
「まじで!?夕方から?」
騒がしかった楽屋、から一転
雨の降りそうな空を下に、車のエンジンをかける
どうしても、伝えれない好きって2文字。
伝えたらきっと、今の関係が崩れる気がして
雨の変わりに、俺の頬を伝う涙を拭わず
アクセルを踏む
「…、翔さん……、好きだよ、」
その声は虚しく車内に響いた。
END.