この好かれ方は好きじゃない!!【ヒロアカ】【BL】
第2章
懐かしい夢を見た、酷い悪夢とも言えるそれを見た。
己の腕が瓦礫の下敷きになりみるみるうちに血が溢れてきたあの日、ヴィランを倒すために糸に操られながら戦闘をした結果がそれなのだ。
少年に覆いかぶさり瓦礫の破片が当たらないようにした結果がそれなのだ。
腕が無くなった己に不甲斐なさが胸を刺す、オールマイトさんに馬鹿みたいに怒られて、イレイザー先輩に泣かれたあの日を思い出す。
あぁ死んでしまいたいと何回思っただろうか、何度仲間の死を見てきただろうか、その度自分の個性の弱さに嘆いた。
俺は死人に命を再度吹き込むことはできない、所詮はその程度の個性だ。
ダメだ思い出すな、走り続けなくては無我夢中に走り続けなくては。
まともになるな、まともになったら、壊れてしまう。
胸糞の悪い夢を見た。
目を開けると身に覚えのある天井が視界いっぱいに広がる。
先輩が座っていたところを見ると1枚のメモが置かれていた。
ずるずると布団を巻き込みながらそれを手に取り寝ぼけ眼を擦りピントを合わせる。
『後日12年前の体育祭映像視聴予定、5時限目A組に来い』
「じゅうにねんまえ……」
ひいふうみいと自分の年齢と照らし合わせちょうど自分が1年生の頃だと思い出し肩が重くなる。
あぁ最悪だ、ゴシゴシと目を擦りながら俺はシャワーを浴びにベッドから硬い床を素足で移動した。
シャワーを浴びながらどうせ戦闘の話とかオファーの数がどうのこうのとか説明しなくちゃあならないんだろうなと更にため息を零し、自分はこういう立場なのだと痛感させられた。