第6章 第5章 初戦闘体験
(そういや……謎だ……)
時計の針が進む音を聴きながら、昴
は桃花の顔を思い出した。
彼らの中で、誰がいちばん印象が強
かったか。
それはなぜか桃花だった。
桃花は魔力持ちという点を除けばそ
こら辺にいる普通の女子高生と何ら変
わりはない。
クラスにひとりはいるタイプの平凡
な女子。
個性としても他の女子ふたりに比べ
たら薄い。
得にリーシアなんかは見た目も性格
も1度見たら忘れられない。
なのに、なぜだろうか。
恋愛感情とは全く異なる、ただいち
ばん脳裏に残っているだけ。
選択の余地もない、選択肢。
(それにどっかで会った気がすんだよ
な……でも……)
昴は仰向けになると天井を見つめた。
きっと思い違いだろう。
桃花ともほかの人たちとも、会った
のは商店街エリアでクルーンが現れた
あの時が最初だ。
もしくは似たような人とすれ違った
のを勘違いしているのかもしれない。
考えていると頭がズキリとした。眉
を顰める。
軽い痛みだが、これ以上考えるなと
言われているようで昴は考えるのを止
める。