第5章 第4章 歓迎会
「俺も噛まれたことあるけど、嫌いに
はなってないな。
ほら、自分を噛んだ動物に優しくし
てたら、いつか人間の姿になって会い
に来てくれるかもしんないだろ?」
「えっと、ありえないと思うよ?」
桃花が真顔で昴の妄想を否定
する。
コーラの蓋を開けて、自分のコップ
に注ぎながら昴は眉を顰めた。
「夢を壊さないでくれよ」
「まぁ、スバルくんの言っていること
はただの現実を見れない悲しき少年の
虚妄に過ぎないが……。
まあ、今ボクらが生きてる世界も、
客観的に見れば幻想的社会のようなも
のだし。
もしかしたらスバルくんのいう夢が
叶う可能性も1ミクロンほどはあるか
もしれないよ?」
チョコポッキーのチョコの部分で昴
を指しながらリーシアは、昴の考えを
馬鹿にしているのか、肯定しているの
かわからないことを言う。
が、8割方前者だと昴は思う。口調
からわかる。
「馬鹿にしてるだろ」
「まさか! 心外だな、いつボクが君
を馬鹿にした? あ、もしかして自覚
あったのかい?」
「現在進行形でだよ。……あ、すいま
せん、俺敬語苦手で……」
かなり今さらなのだか、昴は自分が
理事長に対して、タメ口で話していた
ことに気づき、口元を手で慌てて覆い
隠した。