第3章 第2章 媒体
放課後、よっつの科目の補習を何と
か終え、昴は0番室を目指して急いで
いた。
窓の外に映る空は赤紫色に染まって
いる。最終下校時刻も近く、人気がな
かった。
階段を上がり、突き当たりまで小走
りで向かう。
0番室の前に着くと、息を整えてか
らドアをノックした。
扉が開き、桃花が顔を覗かせた。昴
を見て、にこりと笑う。
「遅いです」
「わるい」
昴は室内に足を踏み入れると、零、
紫乃、夕のさんにんを確認した。無邪
気な様子で紫乃が手を振る。
「じゃあ、話しの前に、これに署名し
てください」
桃花が差し出した紙を受け取って、
昴は首を傾けた。
「これは?」
「契約書です。朝比奈さんが私たちの
ために命を差し出すという。
私たちが後から文句を言われないた
めにも、名前の記載をお願いします」
事務的な口調で桃花は言うと昴にペ
ンを渡す。
昴は床に座り込んで、地面を机に名
前を書いた。
「ほい」
「ありがとうございます。これで、後
から文句言ってもこっちの勝ちになり
ますので」