第9章 第8章 遊園地
だから、親の許可を得てひとり暮ら
しを始めてからも行こうと思ったこと
はない。
興味はあったし、週末に彼氏と遊園
地デートしてきたのとはしゃぐ同級生
を見て羨ましく思ったことも1度や2
度ではないのに。
それでも行こうとしなかったのは両
親の言葉があったからだろう。
桃花にとっては親の言うことは絶対
だったのだ。
「俺はどちらかというと行きたいな」
「さすがスバルくん! わかってるじ
ゃないか!」
「僕も行きたいなぁ。夕と零も行きた
いよね?」
「まぁ、特に予定ない……はずだし。
久しぶりに行くかな」
若干最後を濁して夕が答えると紫乃
は零の返事を訊く前にじゃあ決まりだ
ね! と叫んだ。
「明日行こう! 待ち合わせは入場門
前で……時間はどうしようか?」
「開園時間が10時だからそれに合わ
せよう」
「だね。───じゃあ、明日10時に
ね。零もちゃんと来るんだよ?」
「ん」
桃花は成り行きを黙って見ていたが、
結局行くことになったみたいだ。
操り師のことは気がかりだが、防御
しかできない自分が案じても仕方がな
い。
みんな(というより零と紫乃)がい
いなら大丈夫だろう。