第7章 ☆Story5☆ 溢れる恋心
憲吾side
「……ゆりちゃんのことが好きだよ。
会った時からずっと……」
「っ……!」
「っおい……」
アイツは、本気なのだろうか……あの時の言葉も、本気なのだろうか……
愛の告白をしたのかと思いきや、今度は俺に鋭い視線を送ってきた……。
コイツは、俺が恋敵だとでも思っているのだろうか……。
だったらとんだ勘違いだ。
彼女はただの……ただのなんだ?
危なかっかしい子供?
ただの、ただの……偶然助けた子。
それだけだ。
それに俺にはそんなことをしている暇はない。
今は、試合に向けて……
やらなきゃいけない事があるんだ……
いちいち気にしている暇なんてない。
まぁ俺はお邪魔っぽいし、そろそろ行くか。
吾郎も、置いてきたしな……。
「……それじゃ、俺はこれで。
もうアイツらは近くにいないしな……」
「っゃ……」
なんでそんな目で俺を見るんだ……
この何かを訴えるような……俺はただ、
絡まれているところに首突っ込んだ関係ねぇ奴なのに……
それに、芸能人とかって関わりたくねぇし……しかもアイドルとか……
「お前、芸能人としてプロだろ?
もう勝手に、あんな行動すんなよ。」
「っ……」
「班田たちは、何を企んでいるかわからない。一人で行動はするなよ。
またさっきみたいに、誰かが常に助けてくれるわけじゃねぇんだからな……」
そんな奴が、班田のような厄介なのに絡まれるなんて、勘弁してほしいし……
「っ……」
何より……
「……親にも、迷惑かけんじゃねぇよ。
んじゃ……」
「っ……」
ああして親に心配かけている。
俺には、
そんな奴はいないのに……
そして俺はその場を立ち去った。
もう会うことは、ねぇだろうな……俺に彼女は、
遠すぎる存在だ。