第7章 ☆Story5☆ 溢れる恋心
「よぉ……憲吾じゃねぇか……やっぱりコイツと知り合いか……」
「はっ……何のことだ。
俺にそんな娘の知り合いなんていない……全くの無関係だ。
いい加減その手を離せ。子供相手にすることじゃ、ねぇだろ……」
俺と彼女は、無関係……こないだは、ただ偶然で助けただけ。
意味なんて、ない……。
「……ふんっ」_ぶんっ!
「っきゃ!」
「っ……!」_とんっ
班田は渋々彼女の腕を離し、俺に向かって放り投げた。
あっさり終わるのかと、俺は思った……でも、
それは違った……。
「今回は見逃してやる……藤ヶ谷ゆり……」
「っ……!」
っ今回はって……どういうことだ……あいつ、一体何を企んで……
「っ……」
彼女はすっかり身体を震わせていた。
「っ……お前……」
俺が彼女の肩に触れた瞬間……
「「っゆり!/ゆりちゃん!!」」
後ろから2人ほどの声が聞こえてきた。
名前呼びからして、親しい人物だろうか……
「っぅ、うぅぅ……うぅ……」_ぎゅっ…
「っ……!」
恐怖のあまりか、彼女は俺に抱きついてきた。
よほど、怖い思いをしたらしい……
「っすごく、怖かったです……」
「っ……アイツらは、もういない。安心しろ……」
憲吾はゆりを落ち着かせるかのように、優しく頭を撫でた。
「ぅ…ヒック…ヒック……」
「……。」
未だ泣き続ける彼女、感情を表に出すことが苦手な俺は、特にかける言葉も出ず、
ただ頭を撫でることしかできなかった……。
「っゆり……」
「……。」
「……。」
後ろに振り返ると、異様に似た顔の二人が立っていた。
確か、こっちを睨んでんのが、さっきも店にいたキスマイの藤ヶ谷とかっていう奴、
もうひとりのメガネは……特に知らない人。
一体この二人は……