第7章 ☆Story5☆ 溢れる恋心
俺はゆりちゃんと三船を追うようにお店の抜け出し走り出した。
「っ……くそっ……!」
思った以上に人が多く思うように走り出せない。
そんな前を見ていると、走っているアイツの姿が見えた。
「っ……」
随分、反射神経がいいんだ……
ちょっと感心してしまった俺、
でも俺も負けたくなかったため、必死にあいつの後を追った。
必死に走ったおかげが、アイツとの距離が縮まってきた。
その時……
「っ待てよお前!!」
_どんっ!
「っ!?」
誰かにぶつかってしまった。
「っあ、すいませ……っえ!?」
謝ろうと顔を上げた先に見えたのは……
「っ!?
き、君は……キスマイの……」
「っゆりちゃんのお父さん!!
っなんで、ここに……」
まさかの人物、ゆりちゃんのお父さんだった……
ある意味、今一番会いたくない人物と会ってしまった……。
明らかにゆりちゃんが走り出した原因は俺にある。
もし、そんなことがお父さんにわかったら……
「っおい……!」_グイ!
「っ!」
突如お父さんに胸ぐらを掴まれた。
「お前、何があった……ゆりに、一体何が起きたんだ……」
「っ……それは……」
「さっきの、男と何か関係があんのか……」
ここで、嘘をつくわけにもいかない……お父さんに、嘘を言えるわけない……
たとえ、どんな理由があろうと……
「っ……いえ、大方は、俺に原因が……」
「っ……!」
そして俺から手を離すと走り出してしまった。
そりゃ当然だ。だって、大事な娘が危険な状況なのかもしれないのに、
平然としている親なんて、いない……
「っ……!」
俺も再び走り出した。
「っ俺のせいで……」
彼女に、ゆりちゃんに何も起こっていませんように……
見つける時には、また俺のことを「バカ」って言っていいから……無事でいて……