第7章 ☆Story5☆ 溢れる恋心
「あぁ?」
「っや……!」
班田と言う男の人に顔を覗き込まれ肩を震わせた。
目元はクマのような、野球選手がやるような黒いものが塗ってあった……。
「っ……三船さん……」
思わず三船さんに助けを求めてしまった。
来るはずないない人の名前……なんで、三船さんに……
わざわざ追いかけて来ることなんて、ないはずなのに……
「三船……?お前、今何っつった?」
「っや……」
(っ誰か……!)
「班田さん、こいつ三船憲吾の知り合いですかね……」
「っ……!」
(この人たち、三船さんを知っている……?)
「……おい、あいつとはどういう関係だ?」
「っ知りません……!三船憲吾なんて人、私の知り合いに_グイ!っきゃ!」
「正直に言うのが、身のためだぞ……」
「っだから……知りません……そんな人……」
「っおい!!」
「っ……」
「あぁ?」
「班田……お前……」
「っ……!」
三船、さん……?
「よぉ……憲吾じゃねぇか……やっぱりコイツと知り合いか……」
「はっ……何のことだ。
俺にそんな娘の知り合いなんていない……全くの無関係だ。
いい加減その手を離せ。子供相手にすることじゃ、ねぇだろ……」
「……ふんっ」_ぶんっ!
「っきゃ!」
「っ……!」_とんっ
班田は掴んでいたゆりの腕を離し、憲吾に放り投げた。
そしてゆりは憲吾に収まるように倒れこんだ。
「今回は見逃してやる……
藤ヶ谷ゆり……」
「っ……!」
それだけ言うと、班田という大男は手下と思われる不良たちを引き連れ二人の元を去っていった……。
「っ……」
「っ……お前……」
「「っゆり!/ゆりちゃん!!」」