第7章 ☆Story5☆ 溢れる恋心
ゆりside
「っ……藤ヶ谷さんのばか!!」
「っ……」
私は感情がよくわからなくなり、お店を出てその場を走り去ってしまった。
「っゆりちゃん!?急に走り出してどこ行くの!?」
誰の言葉も、私の耳には入ってこなかった……
なんで、
『俺の彼女ですよ?(微笑)』
なんであんな嘘言ったのよ……!
なんで、一般の人たちを戸惑わせるようなこと……
「っ……」
やっぱり、今日の誘い断ればよかった……
そうすれば、三船さんに会うことも、あんなところを見られなくて済んだのに……
「っきゃ!ちょっと!」
「うお!?」
「な、なんだ!?」
「っおい!あぶねーだろ!!」
私は無我夢中で原宿の道を走った。
_どんっ!
「っ……おい……っゆり!?」
「っ……!」
誰かにぶつかったと思った矢先、とっさに誰かに腕を掴まれた。
『俺の彼女ですよ?(微笑)』
ふとさっきの言葉がリフレインした……
「っ……いや!!!」_ばっ!
「っおい!!ゆり!!」
勢いよくその人の腕を払いのけ、再び走り出した。
『っ太輔!』
「っば!お前は顔を出すな……!」
「っ……」
もうやだ……!
早く、寮に戻ろう……寮に戻れば、
みんながパーティーを開いてくれるんだ……だから、早く寮に……
_どんっ!
「っきゃ……!」
また誰かにぶつかってしまった。
「っおい!小娘、お前どこ見て歩いてんだ!?」_ぐいっ!
「っごめんなさい!!」
そして腕を掴まれてしまった……。
その力はとても振り払えるものではなかった……それに、こんな図体のでかい人……
その人の身長は180以上はあり、体格もかなり大きかった。
私はその場で固まってしまった。
「班田さん、この娘はドルチェの藤ヶ谷ゆりじゃないですか?」
「あぁ?」