第6章 ☆Story4☆ パパの悩み事、娘の誕生日と…
「義兄さん、本当は百合の死を受け入れていないの……?」
「っ……。」
「義兄さん、百合が死んだあの日、みんなが悲しんでるいる中、散々言ってたじゃん。
百合は、ずっと俺たちの中にいて、見守ってくれている。だから笑える。
百合も、俺らが笑うことを望んでいるから、いつまでも悲しんでいちゃいけないって……」
「っ……」
「っ散々言って言った義兄さんが、一番引きずっているじゃん!!
俺らは、てっきり義兄さんは妹の死をちゃんと受け入れているんだって、思っていたのに……
一番、受け入れていないのは、ゆりでも、俺でも、母さん達でもない……
義兄さんだよ。」
「っ!」
「義兄さんが、そうやって引きずっているから、
ゆりもお母さんという存在に依存しちゃうんじゃないの?」
「っ……」
「義兄さん……」
「……。」
「あの日、一番泣きたかったのは義兄さんなんだよね……
本当は、不安で、怖くて仕方なかったんだよね?ゆりと、生きていくことが……」
「っ……俺は……」
「……ちょっと待ってて。」
裕太は一旦部屋を後に出て行った。
そしてすぐに部屋に戻ってきた。
「義兄さん、これ……。」
「っ……」
裕太はあるものを太輔に渡した。
「……桂木が、俺と同じ日に選んだテディベア。」
それは百合がユウと共に名付けたピンクのテディベア・レンだった……。
「っこれ……」
「桂木、百合にはピンクがお似合いだって言って、選んだやつ。
意外といいセンスしてんでしょ?」
「っ……なんで、俺に……」
「なんで、だろうね……なんか、たまーにこのぬいぐるみを見るとさ、
何かを訴えているような気がしてね……ユウのほうをゆりが持っているなら、
このレンは、義兄さんが持つべきじゃないんじゃないかって、思ったんだ。」
「っ……」
「……ゆりと、最近うまくいってないでしょ?これを機にさ、
お互い様ってことで、いいんじゃないかな?」
「っ……。」