第21章 ☆Story19☆ 通じ合う2人のココロ
憲吾side
「それじゃ、おやすみ…ゆり……」
【うん……おやすみ憲吾……】
俺はあの後吾郎と軽く飯を済ました後、自宅に戻ってきた。
その直後に彼女から電話がかかってきてしばらく話して現在に至る……。
_ピッ…
「……やっぱり、名前呼びは恥ずかしいな……」
やはり年下とはいえ彼女を“ゆり”と呼ぶのはなんだかむず痒い……
だがゆりが俺のことを名字じゃなくて名前で呼んでくれた時は、
なんだか凄く嬉しかった……。
「ゆり……」
ふとゆりの名前を口ずさむ憲吾、
憲吾は以前に言われた吾郎や涼介の言葉を思い出していた。
『お前がゆりちゃんの支えになることで、
ゆりちゃんの気持ちはめっちゃラクになると思うぜ?
ちゃんと応えてやんな。』
『それじゃ、ゆりちゃんのこと……大切にしてあげてね?』
俺に彼女を支える力があるのかわからないが……
「俺にできることを、ゆりにするだけだ……」
あいつを、ゆりを傷つけず大切にできるか……
親の愛すら知らない俺にできるのかは、正直わからない。
でも、アイツを好きな気持ちや大切にしたいって気持ちは……嘘じゃない……
だから、
「……班田から、絶対に守ってみせる。
アイツには、指一本さえも触れさせやしない……絶対に……」
ゆりが、光や太陽に例える存在なら……
俺は影だ……。
アイツが安心して、幸せになれるなら……俺はそれだけでも……
憲吾は以前ゆりから貰った桜貝のネックレスを片手に取った。
「……こんな俺を、好きになってくれてありがとな……
ゆり……(微笑)」
そして優しく握りこみ独り言のように呟いた……。
しばらく握りしめた憲吾はネックレスを棚の上に置き明日の学校や練習に備えて準備を進めた。
その同時刻、ゆりも引き続きあるコンサートに向けて準備を進めているのだった……。