第21章 ☆Story19☆ 通じ合う2人のココロ
『この曲は、私の大切な人に向けて……アレンジをさせていただきました。』
「っ……!」
『……。』
憲吾の方を見ながら曲の説明をするゆり、
観客はしーんと静まっていた。
「っねぇ廉さん……ゆりちゃんの大切な人って……?汗」
「っ俺が知るかよ勇気……っおい、お前は何か知らないのかよ。」
廉は太輔の方に目を向けた。
「……なんとなくだけど、ゆりの大切な奴が誰か……わかった気がする……」
「っ誰だよ……」
「珍しく食い気味だな、廉……」
(まぁ俺も気になるけど……さすがにキスマイの藤ヶ谷くんとかじゃないよな……)
「……それは、ゆりから自分で言うまでは言わないよ。
俺だって、確信かどうかわからないし……」
「っ……ゆりちゃんの、大切な人って……」
「まぁ、三船のことだろうな……どう見ても……」
「っ……」
タイスケたちもゆりの方へ目を向けていた。
『今日は、皆さんに曲を紹介するのと同時に……大切な人への想いを歌いたいと思います。
……それでは、聞いてください。』
ゆりはマイクをセットし直し、椅子に腰掛けた。
ちなみに衣装はドレス風になっている。
ゆりは両手をピアノに添え、一呼吸してピアノの音色を奏でた。
そして前奏を追え歌い始める……
『いつもそばに いてくれた笑顔が
忘れ られないから
ふと気づけば ふたりのあの場所へ
会える はずもないのに……』
「ゆりちゃんの歌声、綺麗だな……」
「……あぁ、」
観客席は相変わらず静間にかえっており、ペンライトを持っている観客は胸元のところでペンライトを振っていた。
ゆりにMiss Youのアレンジを任せた廉もじっとゆりの歌声を聴いていた。
「……。」
「……やっぱり、ゆりちゃんに任せて正解だったね。」
「あぁ。そうだな……」