第21章 ☆Story19☆ 通じ合う2人のココロ
『……。』
(三船さん……)
「「うぉぉぉ!!」」
「「ゆりちゃ〜ん!!」」
ゆりは観客に声援を受けながらステージに出るなり、
憲吾がいる方に目を向けた。
そしてピアノがある方へ歩き出すゆり、辺りを見渡すと、前列席の方には知っている顔がズラッと揃っていた。
『……ぁ、』
ゆりは視線を感じ、視線を感じた方に目を向けると……
「……。」
『……。』
(っ三船さん……)
憲吾と目があった。
ゆりは数多い声援を受ける中、じっと憲吾の方を見ていた。
「あ!廉さん廉さん!ゆりちゃん出てきました!」
美男は廉の肩を叩きながらゆりの方を指差した。
「わかってるし!」
(……お前が、どんな曲にしたのかしっかり聞かせてもらうからな……)
「……先生、」_チョンチョン
宏光は太輔の肩をちょんちょんと突いた。
「なんですか?」
「ゆりちゃん、なんか一定のとこ見てません?」
「……そう言われれば……」
(知り合いといえばこっちの方にしかいないはずだが……まさか、三船くんとかが来ているのか?
なんか、告白とかしてたし……)
『……ふぅ、』
ゆりは深呼吸をし、ピアノにセッティングされているマイクを抜き手に持った。
『皆さん!
今日はコンサートに足を運んでいただいて、ありがとうございます!
初日からこんなに沢山のお客さんに囲まれて……すごく嬉しいです!』
「「ぃえーーい!!」」
『今回私は、A.N.JELLとして華々しく活躍なさっている桂木廉さんのソロ曲、
「Miss You」のアレンジを桂木さん本人から任されました。
その曲を、今日初めて披露したいと思います。』
「「「うぉぉぉぉ!!」」」
「……。」
「もしかして、ゆりちゃんが歌で伝えたいって言ってた曲って……」
「……。」
【その曲を、あなたに聞いてもらいたいんです……】
憲吾は花火大会の日に言われたゆりの言葉を思い出していた……。