第19章 ☆Story17☆ 二人きりの夏祭りデート
_パチンっ!!
「「っ!?」」
「……。」
「……もう、何も言わないでください。」
「……。」
タイスケの左頬は少し赤くなっていた。
「っゆりちゃん……?」
「いきなりどうしたの……」
タカシとケントは驚きを隠せない様子でゆりを見た。
「……。」
(見事なビンタだったな……)
その一方でヒロミツななぜか感心していた。
「……図星、なんだ?」
「っ……!
だからもう何も言わないでください!!」
「そこまでムキになるって事は図星なんでしょ?」
「っ……」
「……おい藤ヶ谷、その辺にしておけ……」
「……。」
「……降ろしてください、あとは電車とバスで帰りますから。」
「駅までは20分くらいかかるよ?」
「いいですから降ろしてください……」
「中学生は基本8時以降は一人で歩き回るの禁止だよー?
そんなんじゃ、補導されるよ?」
「っいいから降ろしてください!」
「青信号になったから無理だね。」
「っ……」
信号機は青に変わり車は再び走り出す。
「……ゆりちゃん、藤ヶ谷が余計なこと言って悪かった……
でも、今降りるより送ってもらったほうが賢明だぞ?」
「……。」
ゆりは渋々そうな表情を見せたが、それ以降は降ろして欲しいとは言わず無言のままで座っていた。
こうして車をしばらく走らせ、寮の前までたどり着いた。
「ありがとうごいざいます。
それじゃ……」
ゆりはお礼だけを言うとドアを開け早歩きで寮に戻った。
「……。」
タイスケはその様子を黙って見ていた。そして見えなくなると車を再び走らせた。
「……。」
「……おい、藤ヶ谷……」
「なんだよ……」
「お前、ゆりちゃんのことになるととことん空気読めない奴になるな……」
「……。」
「余計嫌われるだけじゃねぇの?」
「……。」
「ミツもズバって言うなぁ……汗
ガヤは嫉妬しちゃってあんな言い方になっちゃったんじゃない?」
「……悪りぃかよ……」
「「ぇ……」」
「……。」
「嫉妬して……」