第19章 ☆Story17☆ 二人きりの夏祭りデート
「っ!……アイツ……」
タイスケは目を見開いて驚いた表情を見せた。
4人の目に入ってきた光景は、憲吾がゆりにキスをするところだった。
「まぁあれだけ雰囲気もいいと……な、」
「っあいつ……何して……」
「……これで、
アイツも彼女のことが好きってことだな……藤ヶ谷……。」
「っ……嘘だ……アイツがゆりちゃんのこと……」
「もしかして、今日の花火大会は向こうのほうから誘ったんじゃないか?」
「っ三船が……?
っまさか、アイツはそういう柄じゃ……」
「どこからそんな根拠が言える?」
「っ……それは……」
「男は無駄だって思ったことで無駄に時間を過ごすのが嫌いだからな……
アイツも、自分の時間は無駄なことで奪われたくないって思うタイプだろ。
そんなアイツが、わざわざ女の子と2人で夏祭りに来るんだ……」
「っ……」
「なんか、ゆりちゃんもまんざらじゃなさそうにキスしてるね……」
「んじゃあの2人は両思い!?_ズズッ!」
「だから二階堂、お前は焼きそばをすすりながら喋るな。
ま……あの感じからして、正直両思いだろうなゆりちゃんたちは。」
「っ……」
まだ「信じられない」という表情を浮かべるタイスケ。
「……ここで諦めるのが、お前のためでも彼女たちのためでもある。
そろそろ、終わりにしたらどうだ……」
「っ……お前に言われる筋合いはない……」
その場から立ち上がるタイスケ。
「お前も諦めが悪いな……おい、どこ行くんだ?」
「帰る。」
「っ帰るってお前……そっちは丘だろ?
戻るんじゃねぇのかよ。」
「あっちにも抜け道はある……俺はあっちの方から帰る。」
そういうとタイスケは階段を登り始めて3人の元を去って行った。
「……。」
「ねぇミツ……」
「どうした、千賀……」
「ガヤ、ゆりちゃんのこと諦めるのかな?」
「さぁな、でもアイツのことだし……またコロリと調子変えるかもな。」
(だが、お前がどうしたって……あの2人の気持ちは揺らがないとは思うけどな……)
ヒロミツはタイスケの登って行く階段の先を見つめるのだった……。