第19章 ☆Story17☆ 二人きりの夏祭りデート
「っ……まさか!ゆりぴー?」
「っ……(やっぱり、この間の追っかけの人だ……)
っ違います!……よくいわれますが違います……」
なんとゆりがぶつかった相手は序盤で出てきた「ゆりぴー親衛隊」の1人だった。
「っ嘘だ……!
それにそのぬいぐるみ、ゆりぴーが持ってるのと同じだよ!」
「っ!?」
(っなんでユウの事知ってるの!?)
「昨日載ってたのは本当だったんだ……」
「っ昨日って……?
本当に私は人違いです……このぬいぐるみは、たまたま同じものだったんじゃないですか……?」
(っどうしよ……この場をなんとか切り抜けないと……)
「熱烈ファンの情報網をなめてもらっちゃ困るよ!
ゆりぴーが外出すればそれを見た他の人たちが情報を書き込む。
昨日だって何件か情報が載っていたんだよ……海水浴をみんなで楽しんでることとかね……」
少し怪しい笑みを浮かべる男、ゆりは思わず後ずさりをした。
「っひ……」
(まるで、いつでも監視されてるみたい……)
『っ……』
(完全にプライベートの侵害じゃん!いくら人気アイドルだからって!)
ユウは男に苛立ちを覚えた。
「ねぇ、ゆりぴーだよね?」
男はじわじわとゆりとの距離を詰めてきた。
「っち、ちがう……私は藤ヶ谷ゆりじゃ……」
再び後ずさりをするゆり、ゆりが極度の恐怖に陥った。
「っ……」
ゆりは涙ぐみその場で立ち止まり固まってしまった。
『っ……!』
(ゆりちゃん!早く逃げないとヤバいよ!!)
ユウは当然人前で叫んだりすることはできないので、心の中で叫ぶことしかできなかった。
その時……
_グイッ!
「っ……!?」
突如後ろから手首を掴まれ引っ張られるゆり。
そしてあっという間にその人の胸元に納まった。
体格からして、男性だった……。
「っ……!」
(っこの感じ……覚えてる……すごく、温かくて落ち着く……)
だがゆりは抱きとめられた瞬間、この人物が誰なのか顔を見なくてもわかった……。