第5章 ☆Story3☆ ドラマの共演者は…
「……それが、どうかしたんです?
別に、ぬいぐるみくらい……」
「っなんで……」
「っ藤ヶ谷、先生……?」
「……っすいません、急に取り上げて……」
「い、いえ別に……
そんなにまずいんですか?百合ちゃんのものが娘に渡っているの……」
「っ……
(帰り、行ってみるか……)
っすいません北山先生、足を止めて……それじゃ、俺はここで。」
「あ、はい!」
(なんか、すごい怖かったなぁ……)
太輔はそのまま歩き出した。
「あ!この写真はどうします?」
「結構です。そちらで保存するなり処分するなり好きにしてください。
俺はいりません。」
「っは、はい……
(やっぱり、まだ引きずってんだよな……あの人……それに、)
ゆりちゃん、
すっかりお母さんに似てきたもんな……」
「っ……」
(なんで……)
そして早歩きで進む太輔。
「っなんであのぬいぐるみ……」
『ふふふ…ユウくんとレンちゃん、もう少しで洋服出来るよ~♪』
『「百合ちゃんの手作り服楽しみ❤」』
『「可愛い服作って❤」』
『頑張って作るよ♪』
『……(汗)』
「っなんでゆりが、持ってんだよ……」
てっきり百合の実家にあったと思ったテディベア、
なぜゆりが持っているか、なぜ持ち歩いているのか、
気になって仕方ない太輔。
「……まさか、ピンクのテディベアも……」
(やっぱり、直接裕太くんに聞くしかないよな……)
こうして太輔は裕太に、『仕事の帰りそっちに行ってもいいか』とLINEを送り、
再び職場へと足を歩かせた。
_七華高校
「おはようございます。」
「「「おはようございます!」」」
「おはようございます藤ヶ谷先生、」
「おはようございます九条、先生……」
(コイツも、すっかり教師だな、14年前は不良とは思えん……)
「いい加減先生呼びに慣れろよ。」
「っだって……」
ちなみに和真は本年度から七華高校勤務となった。
「そろそろ朝一会議ですよ。」
「あ、はい……」
(違和感ありまくり……)