第18章 ☆Story16☆ 海デート?
憲吾side
「あ、貝がら!」
「……。」
「わぁ……」
砂浜に落ちてた貝がらひとつで喜ぶ目の前の彼女、
なぜ貝がらだけでそんなに笑えるのか不思議でたまらなかった。
「……そんなに、いいのか?」
正直、俺にはイマイチわからない……。
「なんか、こんな綺麗な状態の貝がらって滅多にないじゃないですか!特に東京では!」
「……そういうもんか?」
「こういう、人工物じゃなくて自然でできた綺麗なものって凄くいいじゃないですか……(微笑)」
貝がらを見ながら微笑む彼女、
「っ……」
そして、またこの間と同じように心臓が高鳴ったのような気がした……。
これがどういう感情なのか、俺にはわからない。
ただ、他の人には感じたことのない感情だということは確かだった……
「……あ!またあった!」
彼女を見ていると、温かい気持ちになる……
「……。」
「ほら見てください!これも凄い綺麗ですよ!」
貝がらを見て純粋に笑う彼女、
貝がらよりも、
「……あぁ、そうだな。」
無邪気に笑う彼女のほうが……
「……凄く、綺麗だ……」
「へへっ♪」
「……。」
綺麗だと思った……。
「この辺には結構落ちているのかな……。」
そして不覚にも……
「探せば、ほかにも出てくるかもな……海に慣れるまで、貝がらを探していたらどうだ?」
「そうですね!」
「……。」
彼女とは、もう少し長い時間一緒にいたいと思った……。
この気持ちは、一体何なのだろうか……
親の愛さえもわからない俺には、ますますわからない……
彼女に対するこの気持ちは、一体何なのだろうか……。
「三船さん!」
「なんだ?」
「よかったらどうぞ!」
「ぇ……」
ゆりは両手を憲吾の前に差し出した。
「拾った貝がら、よかったら三船さんにもあげます!」
「っ……」
憲吾は言われるまま貝がらを手に取った。
「自然でできたものって、本当に綺麗ですよね!」
「……ふっ、
そうだな……(微笑)」