第15章 ☆Story13☆ コンサート当選
ゆりside
憲吾がバイトをしている頃、ゆりは自室でMissYouのアレンジをしていた。
_♦♫♦・*:..。♦♫♦*゚¨゚゚・*:..。♦♫♦*゚
部屋には電子ピアノの音色が流れている。
「っ……違う……これじゃない……」
だが、ゆりはどうも詰まらせていた。
「サビの部分が納得いかない……」
サビの『あなたに、あなたに伝えたい言葉があるんだ』という、曲が一気に盛りがる部分である。
『ゆりちゃーん、レモンティー入れてきたよ…って、僕いない方がいい?』
「っユウ……わざわざ、入れてくれたの……?」
『うん、パパやゆりちゃんみたいに上手く入れられたかは分からないけど……』
「上手い下手なんて、どうでもいいよ。その気持ちだけで嬉しいから……ありがとう、ユウ(微笑)」
ユウからレモンティーを受け取り、ユウの頭を撫でるゆり。
『えへへ♪』
「……(微笑)
よし、後一息頑張らなきゃ……!」
『ねぇねぇ、僕も一緒に見てていい?』
「うん、いいよ。」
『やったぁ!』
そしてユウは、ゆりの机に乗っかった。
『……これが、MissYouの歌詞?』
「うん。こっちに原曲あるから聞いて見て。」
ゆりは音楽プレイヤーをユウに渡した。
ユウは耳にイヤホンをつけMissYouを聴き始めた。
「……よし、廉さんを驚かせる勢いでやらなきゃ……」
レモンティーを一口飲み、再びピアノを弾き始めるゆり。
それから数分、MissYouを聴き終わったユウがイヤホンを外した。
「どう?MissYou、すごくいい曲でしょ?」
『うん!大切な人に、本当の気持ちを伝えたいってことがよく伝わってくるよ。
でも、やっぱり言葉的には男性から女性だね……』
「そりゃあ、美男さんのお父さんが書いた歌詞だもん……確か、
美男さんのお母さんに向けて作られた曲だって、言ってたかな……」
『なるほどなるほど……じゃあさ、ゆりちゃんは……誰にこの曲を送りたい?』
「ぇ……」
『……。』