第14章 ☆Story12☆ 気になること
そして学校の校門前で降ろしてもらったゆり。
「ありがとうございます、涼介さん。」
「ううん、気にしないで。
……ゆりちゃんなら、大丈夫だよ。」
「ぇ……?」
「……(微笑)
じゃ、俺は会議があるから。また帰る頃に迎えに来るからよろしくね。」
涼介はそう言うと、車を走らせ事務所に向かうのだった。
ゆりはしばらく涼介を見送ると、校舎内へ入っていくのだった。
憲吾side
「今日の帰り、クロム行くのか?」
「あぁ。」
「一人暮らしも大変だなぁ……」
「別に、誰でもいつかは一人暮らしはするだろうし……苦に思った事はねぇよ……っ?」
「憲吾?急にびっくりしたような顔してどうした?」
「い、いや……なんでも……ちょっと、視線を感じて……」
「っまさか班田か……!」
「……いや、」
(班田のような、殺気ではない……なんだろ……どこかで、感じたことあるような……)
憲吾は視線を感じた道路に目を向ける。だが特に変わった様子はなく、車が走っているだけだ。
「……気の、せいか……ん……?」
憲吾は思わずその場に止まった。
「憲吾、今度はどうした……?」
少し憲吾より前を歩いていた吾郎もその場で立ち止まった。
「っ城国の生徒……」
「っ何……!?」
憲吾は反対側の歩道に、城国商業高校の制服を着た男がいることに気づいた。
その男は、車を見ていたようにも感じた……
「あいつ……何して……」
「……っ!」
(まさか……)
「っおい憲吾……また深刻そうな顔して……何か、あいつに気がかりでもあったのか?」
「……。」
(もしかして、あいつは……藤ヶ谷ゆりのことを……
芸能人なら、車で移動は当たり前だろうし……もしかして、さっきの視線は彼女が……?
……って、そんなことあるわけねぇか……)
「っなぁ……」
「……いや、何でもない……行くぞ。
学校での練習が遅れる……」
「お、おう……」
「……。」
(仮に、あいつが彼女の車を追っていたなら……班田、お前は一体何を企んでいるつもりなんだ……)