第14章 ☆Story12☆ 気になること
『ゆりちゃんにも、そういう人がきっと現れると……僕は思ってるよ?
その相手が、三船くんかもしれないし、もしかしたら藤ヶ谷くんかもしれない。
でもゆりちゃんはまだまだこれからな訳だし、別の相手が現れるかもしれない……』
「……できるのかな、私にも……」
『うん……できるよ。
だってゆりちゃんはパパとママの子だもん。
きっと、素敵な人と結ばれると思うよ。それがいつなのか、楽しみにしてるよ?
僕が喋れる間にできるのか、その後にできるのか……ずっと見守っているからね?
ゆりちゃんのこと……』
「……ありがとう、ユウ。
そう言ってくれて……でも私は、今自分がすべきことをするよ……仕事だって、大事にしないとね。
それに、今恋に夢中になったらファンや事務所にも迷惑かけちゃうから……」
『……スキャンダルでなければいいんじゃない?』
クスリと笑いながら言うユウ。
「そういう問題じゃないのー……」
『と言いつつ、試合観戦の日はめちゃくちゃ目立ってたけどねぇ……』
「っそれは……」
『恋は盲目……恋をすると、周りが見えなくなる事だってあるんだよ……だから、
藤ヶ谷くんだって思わず彼女ですとか、パパの前で思わず本音が出ちゃうだよ。
ゆりちゃんだって、あんなに叫んだことはなかったでしょ?』
「うん……今思い返せば、あんなのこと初めてだよ……特に、意識してないのに……
勝手に体が動いて、思わず叫んで……」
『恋って、そういうものだよ。』
「なんかユウ、急に大人みたい……今まで弟みたいって思ってたから……」
『僕はゆりちゃんの家族だから……だから、
時には弟、またある時は……こうして相談に乗ったりね。』
「……ずっと、一緒にいることはできないんだよね?」
『うん。本当はね、僕みたいな存在はこの世界に存在しちゃいけないんだ。
でも、神様がこの地に降りることを許してくれたから……僕にできる精一杯のことをするよ……。』
「ありがとう……私、これからも一生懸命頑張るよ(微笑)」
『うん!』
「はぁ……ちょっと逆上せちゃった……そろそろ体洗おうか?」
『そうだね!』
こうして2人はちょっと長いお風呂タイムを終えるのだった。