第14章 ☆Story12☆ 気になること
「最近はね?お兄ちゃんができたみたいって思ってた……でも、」
『でも、彼は君のことを妹みたいに好きじゃなくて……女の子として好き……だから……』
「……私、今日言ったんだ。
あの人が……三船さんのことが好きだって……だから、藤ヶ谷さんの気持ちに答えることはできないって、
はっきり伝えた……」
『……それで?』
「それきり、向こうから声をかけてくれることはなくてね……帰る時も、
挨拶してくれなくて……私、嫌われたってことなのかな……?」
『嫌いになるってことは、ないと思うよ……だって彼は、君のことが本気で好きなんだもの……
でなきゃ、一般人の前であんな大胆なこと、「彼女ですよ。」とかなんて言わないと思うよ?
ただ、今は嫉妬に駆られているだけだと思うから……』
「……。」
『気持ちが落ち着いたら、またアピールしてくるんじゃない?
彼、一途に君を想っているから……見ていると、わかるよ。
どれだけ大好きなのかって……』
「っでも、私は三船さんのことが……」
『うん……そうだね。あくまでゆりちゃんの好きな人は三船くん。
藤ヶ谷くんは、お兄ちゃんみたいな存在……それは、しょうがないよ。
好きになった人を、そう簡単に諦めることなんてできないと思うよ……。
ママだって、最初はそうだったからね……
他にも、柊さんや陸君だって……そう簡単にママを諦めることができなかった……』
「っそれだけ……ママには魅力があったってことなんだね……」
『そうだね……でも、ママはずっとパパだけを見ていた。他の人には目もくれず……。
パパだって、ずっとママだけを想い続けている……他の女性には少しも目もくれない、
ママが死んで14年が経つ今でも……』
「……私ね?最初は、私のために再婚しないんだって思ってたの……私がずっとママママって言ってたから、
それを気にしていたのかなって……でも、パパはそんなこと関係なしに、ママを今でも想い続けていた……」
『うん、きっと……いや、これからもパパは永遠にママだけを愛し続ける。
そう、死に際に約束していたから……』
「っ……」