第12章 ☆Story10☆ 縮まっていく距離
「よぉ……憲吾……」
「「っ!?」」
突如二人の前に現れた人物、それは……
_ニヤッ「ふっ……」
「っ班田……」
「っ班田!てめぇなんでこんなところに……」
憲吾が中学時代つるんでいたという班田だった。
そして班田は不気味な笑みを浮かべていた。
「っ班田てめぇ……また憲吾を……」
「今日は別に勧誘しに来たわけじゃねぇ……」
「っ……どういう、意味だ……」
憲吾は班田を睨みつけるように見た。
「……藤ヶ谷ゆり……」
「「っ!?」」
「あん時の藤ヶ谷ゆり……本当に知り合いじゃねぇのか……」
「っだから、違うって言ってるだろ……あの時偶然、お前に絡まれているところに来た……ただそれだけだ……」
「はっ!それだけ、か……」
「っどういう意味だ……」
「お前ら……昨日ツタヤにいただろ?」
「「っ……!」」
「偶然俺の手下がお前らを見かけたっていうんだよ……お前らが、
あの藤ヶ谷ゆりが所属しているグループの、コーナーにいて品定めをしているところをな……」
「っ……」
(っまさか……あそこを見られていただなんて……)
「っちがう!あれは俺が憲吾を無理やり付き合わせたんだよ!
別にそれとこれは関係ねぇよ……ただ単に、俺がドルチェのファンで……」
「ふんっ……昨日の試合だって、派手に応援されていたのにか……?」
「「っ!」」
「はっ……俺だってかつてのダチが何をしているかは気になる……そんな俺が、お前らの試合を見に行ってやってたのさ……」
「っ……」
「その時……よーくわかった。あの帽子とメガネをかけた小娘が!
あの、人気アイドルグループのドルチェ・藤ヶ谷ゆりだってなぁ……」
「っ……」
(っまさか、こいつも昨日の試合を見に来ていただなんて……)
「お前も、随分気合い入ったみたいじゃねぇか……」
「っ……」
「わざわざ、人気アイドルが……一般人がうようよいる場所に来ると思うか?
彼氏やダチがいねぇ限り……こねぇだろ?」
「っ……」
「お前……あいつとはどういう関係だ……?」