第12章 ☆Story10☆ 縮まっていく距離
「あいつとはどういう関係だ……?」
「っ……何もない。
ただ助けたことがある……それだけだ。お前に絡まれた時と、その前に……それだけだ。
ダチでも、それ以上の関係でもねぇ……向こうが、勝手に恩を買っているだけだ……」
「本当に、それだけの関係か……ふっ……」
「何がおかしい……」
「そのポーカーフェイスが、いつまで持つか気になってな(嘲笑)」
「っお前……一体何を企んでいる……彼女は、何も関係ないだろ……仮に彼女に手を上げたところで、
お前は完全にムショ行きだ……彼女の事務所側だって、お前をただじゃ済まさねぇ……」
「ふっ……(嘲笑)」
「っ……」
(一体こいつは、何を……)
「んなこと関係ねぇ……ただ俺は……
お前の絶望しきったツラを見たいだけだ(嘲笑)」
「っ!」
「っ班田!てめぇいい加減にしろよ!
憲吾は今大事な時期なんだよ!オリンピック選手候補もかかってんだ!
それにゆりちゃんだって忙しいんだよ!
暇なお前に、付き合ってる暇ねぇんだよ!!」
「っ吾郎……」
「憲吾……こんな奴ほっといて朝練行くぞ……」
「……あぁ、」
憲吾と吾郎は班田の前を通り過ぎるように再び走り出した。
そして自身の両端を過ぎた二人が走っていた方に体を向け……
「……(嘲笑)」_ペロリ…
舌舐めずりをしながら不気味な笑みを浮かべていた……
「金狼……」
「……はい、班田さん……」
金狼と呼ばれた金髪の不良高校生が電柱の先から出てきた。
「……お前、しばらく藤ヶ谷ゆりの動きを監視しろ……」
「……はい。」
「そういや……お前に双子のやついたなぁ……」
「はい、血は繋がっていませんが……」
「“あいつ”にも言っておけ……あいつは、より近づける奴だ……」
「それは、構いません……なにせ、あいつはスターズTV社長の息子ですから……コネでも使えば、
彼女との接触は可能です……」
「ふっ……お前らの活躍、期待しているぞ……成功した暁には……お前が城国の時期番長だ(嘲笑)」
「ふっ……ありがたきお言葉……」