第12章 ☆Story10☆ 縮まっていく距離
憲吾side
一晩吾郎の家に泊まった俺は、朝5時に目を覚ました。
寝る直前に送った彼女へのLINE、おそらくまだ見てないとは思うが確認して見た。
そして案の定、既読はまだついてはいなかった。
「……。」
「おい憲吾、朝っぱらから暗い顔してんな……ランニング行くんだろ?」
「あ、あぁ……」
「何見てんだ……って、お前……ゆりちゃんに何送って……」
「っ……昨日、ふと班田のことを思い出してな……あいつは、彼女に「今回は見逃す」と言った……
その言葉が、引っかかってな……」
「っあの時、絡まれた相手っていうのが班田だったのかよ……っお前なんで早く言わねーんだよ!
班田はそう……簡単にケリがつけられる相手じゃ……」
「……あぁ……」
「っどっちにしろ……ゆりちゃんにはいつ危険な目が起きても……」
「あぁ、おかしくはない……だからできるだけ、事務所にでも、誰かにでも手を打ってもらったほうがいい……
俺と関わったことで、班田に、目をつけられて欲しくない……」
「っあいつは、今のお前とゆりちゃんの関係は知っているのか……?」
「いや、偶然助けた見知らない子供だって言ってある……でも、あいつはそう簡単に信じはしねぇだろ……
恐らく、今では怪しんでいる……」
「ッマジかよ……」
「っ班田……」
憲吾は拳を握りしめた……
「っ憲吾……?」
「もし……もしも、あいつが彼女を傷けるようなことがあったら……俺は……」
「っ憲吾……」
「彼女は、何も関係ない……憎むのは、俺だけで十分のはずだ……」
「っ……」
「……朝練、行くぞ……」
「っあ、あぁ……いつものコースか?」
「そうだな……1周したら、朝飯食って学校で朝練だ……ミット打ち、手伝えよ……」
「お、おう……ドンとこいだ!」
「……。」
そして二人は家を出ていつものランニングコースを走ることにした。
しばらく走っていると……
「よぉ……憲吾……」
「「っ!?」」
ある人物が二人の目の前に現れた……