第12章 ☆Story10☆ 縮まっていく距離
それから5分ほどが経ち、吾郎がやってきた。
「お待たせー♪
飲み物とお菓子も持ってきたからゆっくり楽しもうぜ!
あ、ついでにファンクラブにも入る手続きやろうぜっ」
「なんでファンクラブにまで入らねーといけねーんだよ……」
「だって、ゆりちゃんが知ったらすげぇ喜ぶと思うぜ?
LINEでさ!ファンクラブ入ったーって言えば喜ぶと思うんだよなぁ……
あ、俺にすすめられたって言えば平気だろ?」
「……。」
「ま!まずはCD鑑賞だな。」
こうして男2人の鑑賞タイムがスタートし……
「このバラード、マジ泣けるぜぇ……(涙)」
すっかり吾郎は曲に感情移入していた。
ちなみに今聞いているのは悲恋をテーマにした楽曲『Forever.』。
恋人が病死してしまうというストーリーが組み込まれている楽曲である。
曲の後半である彼女のソロパート、そのあとに聴かせるビブラートの声は
曲の中に吸い込まれるような歌声だった。まるで、彼女自身はその主人公であるかのように……
それくらい、引き込まれるものがあった……
そして一通りドルチェとゆりのソロ曲を聞き終わり…
「なぁ?いい曲多いだろ?」
「……あぁ、そうだな。」
「お前的には、どの曲が良かった?」
「……『Never Give Up』……かな……試合前に、聞いてもいいかなって……思ったよ……」
「お!『Never Give Up』は来海ちゃん作曲、ゆりちゃん作詞の曲なんだぜ!」
「彼女が……」
「あぁ!」
「……そうか、あいつが……作ったのか……この曲を……」
『がんばる貴方が好き』
『夢を諦めないで』
前向きなフレーズが多く使われている曲……最初に聞いた時から、なんとなく引き込まれた……
「お前いいセンスしてるわー!んじゃ!次はキスマイ!
キスマイも、なかなか元気が出る曲多いんだぜ?」
今度はキスマイのCDをプレーヤーに入れる吾郎。
『この時代のチャンピオンさ、掴めNo. 1!』
「この曲、めっちゃ盛り上がるんだよなー!
この時代のチャンピオンとか、マジいいよなー!
お前もこの時代のチャンピオンになれよ!」
「余計なお世話だ……」