第11章 ☆Story9☆ 試合観戦
「三船さんに、何事もなくてよかったです(微笑)」
「っ……」
「っおいおい!何お前顔赤くしてんだよ(笑)
まぁ無理むねーよな!なんせ……あのゆりぴーこと藤ヶ谷ゆりちゃんが、
今目の前にいるんだからよー♪」
「っ……からかうな……!」
「照れやがって〜(笑)
お前、本当ずるい奴だなぁ……今お前がゆりちゃん独り占めしてるような状況だぜ!?
こんなとこ、ファンに見られたらやばいぞー(笑)」
「っ吾郎……さっきからうるせぇよ……ってか、」
そんな彼女が、わざわざこんなところに来るなんて、周りから見れば怪しまれるだろうに……
「なんでわざわざあんな目立つような行動をしたんだよ……
あんなの……っ……あんなの、自分から正体明かしているようなもんだろ……なんでそこまでして、
俺のこと……ほとんど、
面識がねぇくせに……」
「っ……」
「っちょおいおい憲吾!!そんな言い方ねーだろ?
せっかくゆりちゃんがわざわざ来てくれたんだぞ?
さっきゆりちゃんから聞いたけど、お前二度もこの子のピンチを救ったんだろ?
……これだって、なんかの縁だと思うぜ?」
「……。」
「……それに!お前はテレビとかそんなに見ねーから彼女の偉大さわかんねーと思うけど!
普通一般人の俺らがそう簡単に会えるような相手じゃないんだぜ?そんな相手と、二度も……
いや今日で三度目だ!
お前……ホント幸せ者じゃんかよ……ファンだって、会いたくてもそうすぐ会えるような相手じゃないのに……」
「だからだよ。だからこそ、俺みたいな一般人に構うなって言ってんだ……。」
「っ憲吾……でもよ……彼女の応援があったから、お前はあの試合に勝てたんだろ!?」
「……。」
「あの時、ゆりちゃんの応援がなかったら……お前は確実に負けてたと思うぜ?」
「……。」
確かに……そうだ。
あの時、あの時の声援がなかったら……俺は確実に負けてた……。
「……そこら辺は、お礼言っとこうぜ?」
「……おい、」
「は、はい!」
「あの時は、ありがとな……お前の声援があったから、俺は試合に勝てた……」
「っ……」