第11章 ☆Story9☆ 試合観戦
「……っ……」
「……お、三船が少し意識を取り戻して来たな……」
憲吾は少し腕を動かした。
「っちょっと!握手してもらってもいいっすか!?」
その頃の吾郎はすっかり有名人であるゆりと間近で会えテンションが上がったいた。
「ぁ、はい……いいですよ?」
吾郎は急いでブレザーで手の平を拭き、ゆりと握手を交わした。
_ギュッ「いっつもテレビとかで見てるよ!ロラースケートとかホントすごいし!」
「ぁ、ありがとうございます、内山s‥「ん、んん……」っ三船さん!?」
ゆりは憲吾が意識を取り戻したことに気づき、視線を一気に憲吾へ移した。
「っ……ここ、は……」
「医務室だ。あの試合きり、意識を失ったんだ。」
「っそう……ですか……」
「っ憲吾!お前、大丈夫か!?」
「っんなでっかい声、出すんじゃねぇよ……」
「悪りぃ悪りぃ(笑)
でも……」
「……?」
「お前に素敵なお客さんが、来てるぜ?」
「……はぁ?
ん……っ……」
憲吾はゆっくりと起き上がり、吾郎が指を指した先を見る。
そして指を指した先にいたのは……
「っ三船さん……」
「っ……お前……なんで、ここに……」
試合で、何度も声を張り上げてくれた……
藤ヶ谷ゆりが……
すぐ目の前にいた……。
「っ三船さん……怪我とか、大丈夫ですか?」
「っぁ、あぁ……でも、なんでお前がここに……」
俺は不思議でならなかった……なぜ、
彼女が試合をわざわざ見に来てくれたのか……
「三船さんが、この大会に出るっていうのを聞いて……それで……
今日は仕事も特になかったので……見に、行きたいなと……」
「っ……」
そんな理由で……そんな理由だけでわざわざ……
明らかに忙しい日々を送っているであろう彼女が、
貴重な休日を使って俺なんかの試合に……
驚きと同時に……嬉しいという感情も生まれた……。
「っ……三船さんに、何事もなくてよかったです(微笑)」
「っ……」
少し頬を染める憲吾。