第11章 ☆Story9☆ 試合観戦
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
お互い右拳を相手に向け、
その拳が最初に届いたのは……
_ガツンッ…!
「っ……!」
「ぐわっ!」
「っよっしゃぁ!!調子出てきたじゃねぇか……
憲吾っ!!!」
「三船さん!!」
憲吾だった。
憲吾は聡の頰めがけてパンチをかました。
ゆりはまた歓喜が高まり笑みを浮かべた。
「っぐ……!」
「おい……まだ一発かましただけだろ。
そんなもんなのかよ、アメリカで鍛えた力っていうのはよ……」
「ふんっ……ボクシングはこうでなくちゃねぇ……彼女が来て、気合入っちゃった感じ?
随分ドラマチックだね。でも……そう簡単には勝たせないよ?」
「別に、彼女なんかじゃねぇよ……でも、俺はお前に絶対勝つって誓ったんだ。
俺だって、簡単にお前を勝たすつもりはねぇ……」
ゆりside
『ゆりちゃんの声、ちゃんと聞こえたみたいだね(微笑)』
「そう、なのかな……?でも、
三船さんは初めから諦めるつもりはなかったと思う。私の言葉なんて、
むしろ邪魔になってたかもしれないじゃん……
現に、私のせいでパンチ一つ受けちゃったもん……」
『僕は、そうは思わないよ。
ゆりちゃんの言葉で、覚醒した感じがした……ほら、見てよあの三船くん。』
「……。」
ゆりは視線をユウから憲吾に向ける。
目を向けた先にはお互い闘志を燃やす憲吾と聡が攻防を繰り広げいた。
『さっきまでと、全然違うよ?
気迫も他の選手と比べ物になってないよ。』
「っ……」
『大丈夫……勝つよ。』
「っ三船さん……」
攻防の末先にワンセット取ったのは……
「ヨッシャァァ!いい調子だぜ憲吾!」
憲吾は先にワンセットを取った。
「よし、いい調子だ三船。
あとワンセット決めれば、お前の勝ちだ。最後まで油断せずに行け!」
「はい。」_チラッ
「ぇ……!」
憲吾はゆりの方へ視線を向けた。
思わずゆりはビクリと肩をあげた。