第11章 ☆Story9☆ 試合観戦
「俺は、お前に勝つ……。」
闘志を露わにする憲吾。
「ふっ……さぁ、かかってこいよ。
アンタの本気……見せてみろよっ!!」
「っ……諸星ぃぃぃっ!!」
「オラァァァっ……!!」
共に拳を振り上げる。
「いけぇぇぇ憲吾っ!!!」
「三船さぁぁぁぁんっ!!!」
ゆりside
「っ三船さんっ!!がんばってぇぇぇぇ!!!!!」
さっき思わず立ち上がった私、私は自我を忘れるくらいに……叫んでしまった。
それもあってすっかり私はお客さんから視線を浴びることに……
中には私を見てコソコソと何かを話す人もいればなぜかスマホのカメラを構えている人もいた。
「っ……」
私のことが、バレてる可能性も十分ある……。
でも今の私に、そんなことは関係なくて……三船さんだけを見ていた。
私の目には、三船さんしか見えていなかった……。
「っ!?」
三船さんは、こっちに顔を向けていた……私に、気づいてくれた……。
『ゆりちゃん、もっと三船君にエールを送らなきゃ……!
そしたら、そしたらきっと……勝てるよ(微笑)』
「っ………っ三船さんがんばってください!!負けちゃダメです!!
勝ってくださいっ!!!!」
私は、三船さんに勝ってもらいたい……三船さんが負けるところなんて、
見たくないよ……だから……だから、
だから勝ってっ……!
「っ……!」
「っ三船さん……!」
ゆりの声が届いたかのように憲吾は立ち上がった。
ゆりも思わず歓声の声をあげる。
『……(微笑)』
ユウは優しい笑みをゆりに向けていた。
憲吾side
「っ……諸星ぃぃぃっ!!」
「オラァァァっ……!!」
俺はここで、負けるわけにはいかねぇんだよ……
この大会で勝って……少しでもオリンピック出場に近づけなきゃいけねぇんだ……
それに……
「っ……三船さん!!」
彼女のためにも、
俺は勝ちたいんだ……。