第11章 ☆Story9☆ 試合観戦
「っ……三船さん!!」
_ボテッ『うわっ!』
思わず立ち上がるゆり、膝の上に乗っかっていたユウは落ちてしまった。
『っ……もぉ……!』
「っ……」
(あのままじゃ、三船さん……)
憲吾side
「ぐゎっ……!」
「三船さん!!」
「っ!!」
憲吾の耳には、確かに『三船』と呼ぶ声が聞こえた。
それは顧問の神部でも、もちろん吾郎でもなかった……。
まだ子供とも思われるような、少女の声……
「なによそ見、してんだよ……アンタの今の相手はこの俺なんだよ!!」_ガッ…!
「くっ……!」
またも聡からパンチを食らう憲吾。
そしてついに尻餅をついてしまった。
「「憲吾っ!!!/三船っ!!」」
「っクソ……」
(ここで負けるわけには……)
「っ三船さんっ!!がんばってぇぇぇぇ!!!!!」
「っ……!!」
(この、声……)
憲吾は再び少女の叫び声が聞こえた観客席に目を向けた。
すると2階席で立ち上がってこちらを見ていた……
「っ……」
メガネと帽子を被っている一人の少女……じっと憲吾を見つめていた。
「っ!?」
(っ……まさ、か……)
憲吾は一目でその少女の正体に感づいた。
『っありがとうございました、三船さん……助けてくれて……』
『たまたま見かけただけだし……んじゃ、気をつけて帰れよ。』
『は、はい!
ありがとうございます……』
_ぎゅっ…
『っ……おい……』
『もう少し、だけ……』
「……あの時の……」
(っ……いや……んなわけ……アイドルが、こんなところに来るわけ……)
「っ三船さんがんばってください!!負けちゃダメです!!
勝ってくださいっ!!!!」
「っ……!」
(そうだ……そうだ俺は……
ここで負けるわけにはいかねぇんだよ……!)
憲吾は立ち上がり体勢を整える。
「……なんか、急にやる気出した感じー?
まぁいいよ、その方が面白いしね(嘲笑)」
「フッ……望むところだ。
俺は、
お前に勝つ……。」