第11章 ☆Story9☆ 試合観戦
「っ三船さん……頑張って……」
『ゆりちゃん……』
(やっぱり、ゆりちゃんの恋のお相手は……彼で決まり、なのかな……)
審判の笛の音と共に憲吾と聡の試合は始まった。
お互い相手の出方を伺っていた。
そして先に攻撃に仕掛けたのは……
「っ……!」
『三船が先に仕掛けたー!』
憲吾だった。
聡は頰に一発パンチを食らったがすぐガードの体制をとった。
そして聡も攻撃を仕掛ける。
「おらっ!」
「っ……!」
憲吾は両腕でガードをとったが聡の拳は重く、少し後ろによろめいた。
「っ三船さん……!」
『まだ試合始まったばっかりなんだからこれからこれから、
もっと気長に見なよ。』
「っだって……」
「……噂で聞いたんだけど、アンタってボクシングやる前は悪のカリスマなんて言われてたんだろ?」
「それがどうした……」
「ボクシング始めても、かなり強いって噂をよく耳にするからどんな相手なのかなーって思ったけど……
思ったほど強くねぇな(嘲笑)」
「っ……!」
「所詮、ボクシング歴はまだ3年くらいだもんなー(笑)
……10年、俺はアメリカで6歳からボクシングを始めた……経験に関してはアンタより確実に上だ。
お前のさっきのパンチ、
ちょっと遅いよ(笑)……ほらっ!!」_ドガッ!
「くっ……!」
(っ速い……!)
聡はさっきよりも強いパンチを憲吾の腹に当てた。
「ほら(笑)
……ほら、もっと本気出せよ。アンタの実力は、こんなもんじゃねぇだろ!!」_ガッ!
「っ!」
「オラッ!_ガッ! オラッ!_ガッ! オラよッ!!_ドガッ!!」
「ぐゎっ……!」
続けざまにパンチをする聡、憲吾は守りの体制を保つのが精一杯だった。
「っおい憲吾!!
お前何やられっぱなしなんだよ!!」
「三船!!しっかりしろ!!お前は負け試合をする為にここにきたのか!!」
リングの外では吾郎、そして顧問の神部が憲吾に声をかけていた。
「っ……三船さん!!」
_ボテッ『うわっ!』
ゆりは思わず立ち上がった。