第10章 ☆Story8☆ アイドルになる道
「結論は、今すぐにとは言いません。
少しずつ、我々を信頼してくださればそれだけでも……ただ、
娘さんたちがアイドルになりたいという意志を変えないのであれば、ぜひ……」
「……もう少し、考えさせてください。
母親が芸能界にいたとはいえ、母親と娘は違います。
娘とも、もう一度話し合ってから答えを出します……」
「わかりました。良い返事を待っております。
他の皆さまも……」
「「……。」」
みんなそれぞれ複雑な思いを抱きながら今日はこれで締めることにした。
お昼の弁当をもらった一行は再び涼介の運転するマイクロバスに乗り込んだ。
そして瑛二と明人は下まで太輔たちを見送りに来ていた。
「あなたが、玉森百合さんの専属マネージャーをしていた山田涼介さんですね?」
「ま、まぁ……当時新人だった彼女を、新人だった僕が受け持ちました。」
「……彼女の死は、非常に残念だったでしょう……」
「正直に、言えば……でも、彼女はその死を受け入れて天国に行きましたから……
今でも、ゆりちゃんたちを見守っていますから。」
「なるほど……(微笑)」
「今の藤ヶ谷さんたちの様子を見ると、まだアイドルになるってことは決まらなかったっぽいですね……」
「それは、当然のことですから……でも、彼女たちに頂点に立つ力があるのは間違いありません。
私はそれを信じて、彼女たちを待つ(微笑)
特に、ゆりはな……」
「っ……」
「彼女には、凄まじいオーラがある。それはきっと、母親の玉森百合さん譲りでしょう……」
「……えぇ、そうですね。
ゆりちゃんが何かしらテレビに出て行けば、母親と同じように世間に注目される芸能人になるでしょう……」
「私は、それを信じて彼女を待つ……」
「……彼女には、いろんな人を惹きつける力がありました。
そして娘であるゆりちゃんも、それを受け継ぎました……」
「……もし、」
「……?」
「もし、彼女が本当にこの世界に入ってきたのであれば……山田さんに、
彼女のマネージャーをしてもらいたいと思うよ。」
「っ……!?」